内装の相談は、水まわりとは打ち合わせの空気が違います。給湯器なら「壊れたから直す」ですが、内装は「こう暮らしたい」から始まる。だから最初の三十分は、ほとんど雑談です。お子さんが何年生か、ご両親と同居される予定はあるか、在宅で仕事をされるか。そういう話のなかから、壁を抜くべきかどうかが決まっていきます。この記事では、うちが実際にお受けしている内装工事——間取りの変更、和室から洋室、床の張り替え、壁紙、そして内窓——について、費用と勘所を順に書いていきます。
何がいくらか。内装工事の費用一覧
内装は工事の種類が幅広いので、まず全体の相場を並べます。ここに載っている金額は、大和・藤沢周辺での当店の実績にもとづく目安です。建物の状態で上下します。
| 工事の内容 | 費用の目安 | 工期 |
|---|---|---|
| 壁紙の張り替え(6畳・天井込み) | 4万円〜8万円 | 1日 |
| 床の張り替え(6畳・フロアタイル) | 8万円〜15万円 | 1〜2日 |
| 床の張り替え(6畳・フローリング重ね張り) | 10万円〜20万円 | 1〜2日 |
| 和室から洋室へ(6畳・床壁天井一式) | 25万円〜50万円 | 4〜7日 |
| 内窓の設置(腰高窓1か所) | 7万円〜12万円 | 1時間/か所 |
| 内窓の設置(掃き出し窓1か所) | 12万円〜20万円 | 1〜2時間/か所 |
| 間仕切り壁の撤去(構造に関わらない場合) | 15万円〜35万円 | 2〜4日 |
| LDKまるごとリノベーション | 150万円〜500万円 | 3週間〜2か月 |
先に正直なところを書いておくと、当店は水まわりを本業にしている会社です。ですので内装のなかでも、リノベーションと間取り変更、和室から洋室への変更、床の張り替え、そして内窓を得意にしています。壁の中に入れる断熱材の施工や、窓サッシそのものの交換、外壁・屋根といった外まわりは扱っておりません。ここは正直に線を引かせてください。できないことをできると言って、あとでご迷惑をかけるのがいちばん良くないと思っています。
間取り変更。壁は抜けるものと抜けないものがある
「リビングと隣の和室をつなげて広くしたい」。これは本当によくいただくご相談です。そして多くの場合、可能です。ただし、抜ける壁と抜けない壁があります。
木造の在来工法なら、その壁が耐力壁(家を支えている壁)かどうかで判断します。図面が残っていれば早いのですが、築三十年以上のお宅は図面が行方不明なことが多い。その場合は、小屋裏や床下から梁と柱の位置を確認して判断します。ここは慎重にやります。抜いてはいけない壁を抜いた家は、地震のときに正直な反応をします。
ツーバイフォーの住宅は、壁そのものが構造体なので、抜ける範囲がぐっと限られます。マンションは、戸境壁と、パイプスペースまわりは触れません。それ以外の間仕切りは基本的に動かせますが、管理規約で床材の遮音等級が決められていることがほとんどなので、そこの確認が先です。
壁を抜くときにセットで発生するのが、電気配線の移動、床の見切りの処理、天井の梁を出すか隠すかの判断、そしてエアコンの容量です。二部屋がひと続きになると、それまでのエアコンでは効かなくなります。この点は打ち合わせで必ずお伝えしています。
和室から洋室へ。畳をどうするかで金額が変わる
和室の洋室化は、うちが年間で最も多くお受けしている内装工事です。理由は、大和市も藤沢市も、築三十年から四十年の戸建てに必ずと言っていいほど和室があるから。そしてその和室が、今ではほとんど使われていない。
工事の中身は、畳を上げてフローリングにする、砂壁や京壁を壁紙にする、押入れをクローゼットに変える、天井の竿縁を隠すか撤去する、この四つの組み合わせです。全部やるか、床だけにするかで金額が二十万円台から五十万円まで動きます。
床については、二つのやり方があります。畳を撤去して下地を組み直し、フローリングを張る方法(仕上がりが良く、周りの部屋と高さが揃う)と、畳の上に薄い床材を重ねる方法(安く早いが、敷居との高さが合わないことがある)。長く住まれるなら、わたしは下地からやり直す方をおすすめします。
砂壁は、そのまま壁紙を張ることができません。表面がぼろぼろと落ちる材質なので、シーラーという下地材で固めてからでないと、数か月で剥がれてきます。ここを省く業者がいますが、必ず後で問題が出ます。
- 畳を撤去して下地から … 仕上がりと高さが揃う。25万円〜50万円
- 畳の上に重ね張り … 安くて早い。ただし敷居との段差が出ることがある
- 砂壁・京壁 … シーラー処理が必須。省くと数か月で剥がれる
- 押入れ→クローゼット … 中段撤去・ハンガーパイプ・折れ戸で8万円〜18万円
- 天井の竿縁 … 残すと和の印象が残る。クロス天井に作り替えるなら追加5万円〜
床の張り替え。重ね張りか、剥がすか
床の張り替えには、既存の床の上に新しい床材を重ねる「重ね張り」と、既存を剥がして張る「張り替え」があります。重ね張りは工期が短く、解体費と処分費がかからないので安い。ただし床が六ミリから十二ミリ高くなるので、ドアの下端を削る必要が出たり、敷居との段差ができたりします。
剥がす必要があるのは、床がふかふかしている場合です。これは下地の合板が湿気で傷んでいるサインで、上に重ねてもすぐに同じ症状が出ます。特に洗面所やキッチンに面した床は要注意。歩いて沈む感じがあるなら、その場所は開けて確認します。
床材の選択肢は、フローリング(本物の木の質感)、複合フローリング(一般的で価格が安定)、フロアタイル(傷と水に強く、木目や石目が選べる)、クッションフロア(最も安く、水まわりに向く)。ペットがいるお宅には、滑りにくく傷の付きにくいペット対応の床材があり、これは犬の関節の健康にも関わるので、飼っていらっしゃるなら検討する価値があります。
内窓。結露と寒さと騒音に効く一手
内窓(インナーサッシ)は、既存の窓の内側にもう一枚窓を付ける工事です。窓サッシそのものを交換するのではなく、内側に足す。だから外壁を触らず、一か所あたり一時間ほどで終わります。当店では、この内窓を扱っています。
効果は三つあります。ひとつ、結露が劇的に減る。冬の朝、窓とカーテンがびしょ濡れになるお宅は、内窓を入れた翌朝から違いが分かります。二つ、寒さと暑さ。窓は熱の出入りが最も大きい場所なので、ここを二重にすると体感が変わります。三つ、音。線路や幹線道路の近くのお宅からのご相談が多く、防音を目的に入れられる方が藤沢のほうでは特に多い。
費用は、腰高窓で七万円から十二万円、掃き出し窓で十二万円から二十万円ほど。ガラスの種類(単板・複層・Low-E複層)で価格が変わります。結露と断熱を主目的にするなら複層ガラス、防音が主目的なら厚みの違うガラスを組み合わせるほうが効きます。
それから、内窓は国の省エネ関連の補助金の対象になる年が多い制度です。年度で内容が変わるので、ご相談いただいたときに、その時点で使える制度をお調べしてお伝えします。制度が使えると、実質の負担が半分近くになることもあります。
壁紙と、暮らしながら工事するということ
壁紙は、内装工事のなかで最も費用対効果が高い部分です。六畳の部屋なら天井込みで四万円から八万円、一日で終わる。それで部屋の印象が完全に変わります。
選ぶときのコツをひとつ。カタログの小さなサンプルで見た柄は、壁一面に張ると三倍くらい主張が強くなります。だから、迷ったら一段階おとなしいものを選ぶ。そのうえで、正面の一面だけアクセントを入れると失敗しません。
機能性のクロスもあります。消臭、防カビ、傷に強いタイプ、汚れが拭き取れるタイプ。ペットや小さいお子さんがいるお宅では、腰から下だけ丈夫なクロスにするという手も使えます。
最後に、住みながらの工事について。内装は基本的に、お住まいのまま進められます。ただし部屋ごとに家具を移動する必要があり、これがいちばんの負担です。うちでは工程を組むときに、「この日はこの部屋だけ空けてください」という形でお願いしています。全部の部屋を同時に触ると、避難場所がなくなりますから。一部屋ずつ順番に、というのが暮らしながらの内装工事のコツです。
収納をどうするか。押入れとクローゼットの話
内装のご相談で、間取りの次に多いのが収納です。特に、和室を洋室にするときに必ず出てくるのが押入れの扱い。ここは判断が分かれるところなので、材料をお出しします。
押入れは、奥行きが約九十センチあります。布団を二つに折って入れる寸法です。一方、洋服を掛けるクローゼットに必要な奥行きは六十センチ程度。つまり押入れをそのままクローゼットにすると、奥に三十センチの死んだ空間ができます。
この三十センチをどう使うか。ひとつは、手前に扉を寄せて奥を季節ものの置き場にする。ひとつは、思い切って壁を作り直して、奥の三十センチを隣の部屋側の収納にする。後者は工事が大きくなりますが、隣が廊下ならニッチ収納として使えて、なかなか具合がいい。
中段(押入れの真ん中の棚板)を抜くかどうかも決めどころです。抜けばハンガーパイプを通せる高さが取れる。残せば布団と季節家電の置き場として優秀。ご家族に和布団を使う方がいらっしゃるなら、一室だけ押入れを残すという選択もあります。
費用の目安としては、押入れをクローゼットに変える工事で十万円から二十万円ほど。扉を折れ戸にするか引き戸にするかで金額と使い勝手が変わります。部屋が狭い場合は、開けたときに前に出っ張らない引き戸のほうが結果的に使いやすいことが多いです。
- 押入れの奥行きは約90cm。クローゼットに必要なのは60cm程度
- 残る30cmは季節ものの置き場か、隣室側のニッチに転用
- 中段を抜けばパイプが通せる。残せば布団と家電の置き場
- 扉は折れ戸か引き戸か。狭い部屋なら引き戸が使いやすい
- 押入れ→クローゼットは10万円〜20万円が目安
建具と巾木。仕上がりの差はここに出ます
内装工事が終わったあと、「なんとなく既製品っぽい」と感じるか「きれいに納まった」と感じるかの差は、たいてい細かいところに出ます。仕上がりを左右するのに、打ち合わせで話題にならない二つを挙げておきます。
ひとつが建具、つまりドアや引き戸です。壁紙と床を新しくしても、ドアだけ二十年前のままだと、そこだけ時代が止まって見えます。ドアの交換は一枚あたり五万円から十万円ほど。枠ごと替えるか、枠は残して扉だけ替えるか(カバー工法)で金額が変わります。全部替える必要はなくて、目に付くリビングと廊下側だけ、という判断でも十分効きます。
もうひとつが巾木。床と壁の境目に付いている、あの細い板です。ここが古いままだと、床と壁を新しくしても足元だけ浮きます。巾木の交換は材料費も工賃も知れているので、床を張り替えるときは一緒にやってしまうのが得です。
それから、色の合わせ方。床、建具、巾木の三つの色を合わせるか、あえて外すか。無難なのは、床と建具を近い色にして、巾木を床に寄せること。逆に、床を明るく建具を濃くすると、空間が引き締まります。ここは好みですが、迷われたら実物のサンプルを床に置いて、昼と夜の両方で見てみてください。照明の下で色は変わります。
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この記事の監修者
屋比久 盛友株式会社マルセイテック 代表取締役
保有資格:外壁診断士/宅地建物取引士/ドローンパイロット2級/建築CAD2級
記事の数値・制度は一次情報で確認したものだけを載せ、費用の目安は当店の施工事例の金額をもとにしています。監修者のプロフィールと監修の方針
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