通販サイトを見ると、給湯器の本体が驚くほど安く売られています。これを買って取付だけ頼めば安く済むのでは、と考えるのは自然なことです。このように施主が自分で用意した機器を業者に付けてもらう方法を「施主支給」と呼びます。施主支給は一見合理的ですが、給湯器の場合は、工事の引き受け方、保証の分かれ方、部材の過不足といった点で、施主の側が不利になりやすい構造があります。この記事では、なぜ本体だけの購入が損につながりやすいのかを、お金と責任の流れに分けて整理します。それでも施主支給を選ぶ場合に確認しておきたい点も最後にまとめました。
本体代の差より、工事費・保証・手間で失うものが大きくなりやすい
給湯器を自分でネット購入すると損をしやすい理由は、本体代で浮いた分が、割高な取付工事費や追加部材、そして故障したときの保証の弱さで打ち消されやすいからです。総額で比べると差が思ったほど大きくないのに、トラブルが起きたときの責任の所在があいまいになる、というのが典型的な結果です。
給湯器は、取り付けて初めて使える機器です。テレビや冷蔵庫と違い、ガス・水・電気の3つを正しくつながなければ動かず、その作業には資格が必要です。本体と工事を切り離して買うことには、家電の通販とは違う難しさがあります。
ここで言う「損」は、金額だけの話ではありません。機種選びや日程調整、故障したときの連絡といった、本来は業者が引き受けている仕事を施主が自分で抱えることになる、という意味も含んでいます。仕事や家事の合間にそれらをこなす手間を考えると、本体代の差だけでは割に合わないと感じる方が多いはずです。
一括依頼と施主支給を並べてみる
同じ給湯器を付けるとして、業者に本体と工事をまとめて頼む場合と、本体を自分で買って取付だけ頼む場合を比べると、違いは次のようになります。
| 比べる点 | 業者に一括で依頼 | 本体を自分で購入 |
|---|---|---|
| 本体価格 | 業者の仕入れ値をもとにした価格 | 通販の価格(安く見えやすい) |
| 取付工事費 | 本体とセットの標準価格 | 取付のみの料金で割高になりやすい |
| 機種・部材の選定 | 業者が現地に合わせて選ぶ | 自分で選ぶため型番違いのおそれ |
| 故障時の窓口 | 業者に連絡すれば済む | メーカーと施工業者に分かれる |
| 工事の保証 | 業者の工事保証が付く | 制限されるか付かないことがある |
| 工事日の調整 | 在庫と日程を業者が合わせる | 届く日と工事日を自分で合わせる |
本体価格だけを見ると施主支給の方が安く見えますが、それ以外の項目はほぼすべて一括依頼の方が有利です。以下、とくに差が出やすい点を順に見ていきます。
通販の本体価格が安く見える理由
通販サイトの給湯器が安く見えるのには理由があります。1つは、表示されている価格が本体だけで、リモコンや部材、送料、撤去処分、取付工事が含まれていないことです。もう1つは、メーカーの希望小売価格と比べた割引率が大きく表示されるため、業者の見積りより大幅に安いと感じやすいことです。
実際には、給湯器の交換業者も本体を大きな割引で仕入れており、本体と工事を合わせた価格で勝負しています。つまり、通販の本体価格と業者の見積りを比べるときは、同じ条件にそろえなければ正しく比べられません。本体だけの価格を、工事込みの総額と並べてしまうと、差が実際よりずっと大きく見えてしまいます。
取付だけの工事は、なぜ割高になるのか
給湯器の交換業者の多くは、本体の販売と工事をセットにして、全体で採算が合うように価格を組んでいます。本体の仕入れに一定の利益を乗せ、その分だけ工事費を抑えて表示している、という形です。施主支給になると本体の利益が無くなるため、工事だけで採算を取る必要があり、取付のみの料金は一括依頼のときの工事費より高めに設定されるのが普通です。
そもそも、施主支給の取付を引き受けない業者も少なくありません。後で説明する保証の問題や、届いた本体が現場に合わないリスクを避けたいからです。引き受けてくれる業者を探す手間も、施主支給の見えないコストの1つです。
型番選びを間違えると、部材も時間も余計にかかる
給湯器には、号数、給湯専用か追いだき付きか、オートかフルオートか、壁掛けか据置か、排気の方向、都市ガス用かプロパンガス用かといった、細かな違いがあります。ガスの種類を間違えると、その本体は使えません。設置場所に合わない形の本体を買ってしまうと、追加の部材や配管工事が必要になるか、最悪の場合は買い直しになります。
また、通販の本体価格には、リモコンや排気カバー、マンション用の専用部材が含まれていないことがよくあります。届いてから足りないものに気づくと、取り寄せの間はお湯が使えない日が続きます。業者に一括で頼めば、現地を見たうえで必要な部材まで含めて手配されるため、こうした行き違いは起きにくくなります。
現地を見ていない状態で型番を選ぶのは、プロでも慎重になる作業です。今の給湯器の型番ラベルを見れば多くの情報は分かりますが、排気の向きや周りの距離、配管の位置などは、設置場所を見なければ判断できません。
- ガスの種類(都市ガスかプロパンガスか)
- 設置方式(壁掛け・据置・マンションの扉内など)
- 排気の向きと必要な部材
- 号数と機能(追いだきの有無など)
- リモコンが本体に付属しているか
故障したとき「どちらの責任か」で揉めやすい
施主支給で一番困るのが、故障や不具合が起きたときです。本体の保証はメーカー、取付の保証は施工した業者と、窓口が2つに分かれます。たとえば設置から数か月で水漏れが起きた場合、それが本体の不良なのか、取付の不具合なのかを切り分けなければなりません。
メーカーは「取付が原因ではないか」、施工業者は「本体の不良ではないか」と考えるのは自然なことで、その間に立って調整するのは施主自身です。原因がはっきりするまでの間、修理の費用を誰が負担するのかも決まりません。一括依頼であれば、まず業者に連絡すれば、業者がメーカーとのやり取りも含めて対応するのが一般的です。
加えて、施主支給の場合は工事保証の範囲を本体に関係しない部分だけに絞ったり、保証を付けなかったりする業者もあります。給湯器は10年前後使う設備なので、長く使ううえでの安心という点でも差が出ます。
日程と在庫のずれで、お湯が使えない日が延びる
給湯器が壊れてから交換を考える場合、一番大切なのは早くお湯が使えるようになることです。施主支給では、通販の到着日と業者の工事日を自分で合わせる必要があり、どちらかがずれると、その間お湯が使えません。届いた本体の箱を玄関や車庫に置いておく場所も必要です。
業者に一括で頼む場合は、業者が持っている在庫と工事の枠を合わせて日程を組めます。当店では、給湯器は在庫と工事枠により最短即日での交換にも対応しています。
冬場に給湯器が故障した場合は、交換の依頼が集中しやすく、通販でも人気の機種が品切れになったり、取付業者の予約が埋まったりすることがあります。急いでいる場面ほど、自分で手配する方法は不利になりやすいと考えておきましょう。
それでも施主支給を考えるなら確認したいこと
どうしても本体を自分で用意したい場合は、購入する前に、取付を頼む業者を先に決めておくことが大切です。順番を逆にすると、合わない本体を買ってしまったり、引き受けてくれる業者が見つからなかったりします。
- 購入前に取付業者に現地を見てもらい、型番を指定してもらう
- 取付のみの料金と、追加部材の費用を事前に書面で確認する
- 故障時の窓口と、工事保証の範囲を確認する
- 到着日と工事日をそろえ、保管場所を確保しておく
- 一括依頼の総額見積りも取り、差額を比べてから決める
最後の点がとくに大切です。総額で比べると、差は思ったより小さいことが多いはずです。当店の給湯器交換は8.5万円〜(税込・工事費込み)で、最長10年の工事保証を付けています。見積り・現地調査・出張費は無料ですので、施主支給と迷っている方も、まず一括の総額を確かめてから判断してください。工事費の中身は「給湯器の工事費には何が含まれる?内訳を全部開きます」で詳しく解説しています。
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この記事の監修者
屋比久 盛友株式会社マルセイテック 代表取締役
保有資格:外壁診断士/宅地建物取引士/ドローンパイロット2級/建築CAD2級
記事の数値・制度は一次情報で確認したものだけを載せ、費用の目安は当店の施工事例の金額をもとにしています。監修者のプロフィールと監修の方針
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