エコキュートの見積もりは、ガス給湯器に比べて「本体以外」の割合が大きくなります。四百キロを超える重さのタンクを据えるための基礎、専用の電気回路、それに搬入。ここが読めないと、ネットで見た本体価格と実際の見積額が二十万円近く違って驚くことになります。この記事では、当店がお客様にお出ししている見積書の費目を、順番にそのまま開いていきます。金額の根拠が分かれば、他社のお見積もりを並べたときにどこが違うのかもご自身で判断できるはずです。
まず総額から:容量とタイプ別の相場
細かい内訳の前に、着地する総額をお見せします。下の表は本体・標準工事費・既存機の撤去処分費まで含んだ、戸建てでの交換のおおよその総額です。
| タンク容量(目安人数) | 給湯専用 | オート | フルオート |
|---|---|---|---|
| 370L(3〜4人) | 24.8〜32万円 | 30〜38万円 | 35〜45万円 |
| 460L(4〜6人) | 28〜36万円 | 34〜42万円 | 40〜52万円 |
| 550L(5〜8人) | 34〜42万円 | 40〜50万円 | 47〜60万円 |
当店でいちばんご依頼が多いのは370Lのフルオートで、総額三十五万円前後に収まる例が中心です。同じ容量でもこれだけ幅が出るのは、メーカーとグレード、そして次にご説明する設置条件の差です。表の下限は「既存のエコキュートを同じ場所で同じ容量に入れ替える」いちばん条件の良いケース、上限は「基礎からやり直し、搬入にも手間がかかる」ケースだと思ってください。
内訳①:本体価格は総額の6割前後
エコキュートの本体は、貯湯タンクとヒートポンプユニットの二台一組です。メーカー希望小売価格は五十万円、六十万円という表示になっていますが、実際の流通価格はそこから大きく下がります。定価六十万円台の460Lフルオートが実売二十万円台前半、ということも普通にあります。
ですから「定価の何%引き」という表示にはほとんど意味がありません。当店でも見積書には値引き率ではなく、品番と本体価格をそのまま書いています。品番さえ書いてあれば、お客様ご自身でも実売価格を調べられますし、他社の見積もりと同じ土俵で比べられるからです。
グレードによる価格差の中身は、主に「湯はりの自動化」と「省エネ制御の賢さ」です。給湯専用は蛇口から出すだけ、オートは自動湯はりと追い焚き、フルオートはそこに自動足し湯と配管の自動洗浄が付きます。追い焚きを使わないご家庭が最上位グレードを選ぶ必要はありません。
内訳②:基礎工事という、ガス給湯器にはない費目
ここがガス給湯器との最大の違いです。満水の460Lタンクは本体重量と合わせて五百キロ近くになります。これを地面に直置きはできません。コンクリートの基礎を打つか、既製のエコベース(コンクリート製の台座)を据えるかして、水平に固定します。
費用は、既存のエコキュートの基礎をそのまま使えるなら〇円。既製ベースの新設で三万円〜五万円、現場でコンクリートを打つ場合は乾燥期間も含めて五万円〜八万円が目安です。ガス給湯器からの入れ替えでは、この基礎がまだ無いので必ず発生する費目だと考えてください。
見積書に「基礎工事一式」としか書かれていない場合は、既製ベースなのか打設なのかを聞いてみてください。打設なら養生のために工事が二日に分かれることもあり、日程にも関わってきます。
内訳③:電気工事・搬入・撤去処分
電気工事は、分電盤からエコキュート専用の二百ボルト回路を引く作業です。既存のエコキュートからの入れ替えなら回路がすでにあるので数千円〜一万円程度、ガス給湯器からの入れ替えで新設する場合は二万円〜五万円が目安になります。分電盤に空きがなかったり、契約アンペアの変更が必要だったりすると、ここがもう少し伸びます。
搬入費は、道路からタンクを据える場所まで運ぶ手間に対する費用です。トラックを横付けできて平坦な導線なら標準工事の範囲ですが、階段を上る、狭い通路を通す、クレーンで吊るといった条件が付くと、二人作業や機材の手配で一万円〜数万円の加算になります。当店では現地調査のときに必ず搬入経路を実測して、この金額を先に確定させています。
撤去処分費は、既存のエコキュートまたはガス給湯器を外して持ち帰り、適正に処分する費用です。五千円〜一万五千円程度で、当店の見積もりでは総額に含めています。ここが「別途」になっている見積書は、総額の比較になっていないので注意してください。
ガス給湯器からエコキュートに替える場合の追加費用
ガスから電気への切り替えは、単なる機器交換ではなく設備の作り替えに近い工事になります。ここで見落とされがちな費目を挙げておきます。
まず、タンクを置く場所の確保です。370Lでも幅六十センチ・奥行き八十センチほどの設置面積が要りますし、点検のためのスペースも空けなければいけません。既存の物置やエアコン室外機の移設が必要になることがあります。
次に、追い焚き配管です。既存のガス給湯器が追い焚き付きだった場合、その配管はそのまま流用できることが多いのですが、給湯専用機だった浴室に追い焚きを新設するとなると、浴槽への穴あけと配管の敷設が加わります。
そして、ガス機器がエコキュートだけだった場合は、ガスの解約とガス管の閉栓をどうするかという話が出ます。コンロがガスのままなら契約は継続しますし、IHに替えて完全に電気にするならガスの基本料金がまるごと消えます。この判断は毎月の光熱費に直結するので、見積もりの席で必ずご一緒に考えます。
補助金と電気料金プランで、実質いくらになるか
エコキュートは国の補助制度の対象になっている年が多く、金額が大きいぶん、使えるかどうかで負担感がかなり変わります。ただしこの手の制度は年度ごとに要件も予算も変わり、予算上限に達した時点で早期終了することもあります。現時点で使える枠と申請の締め切りは見積もりのときにその年の最新情報でご案内していますので、必ず確認してください。当店は申請の代行までお引き受けしています。
もうひとつ、見積書には出てこないのに家計に効くのが電気料金プランです。エコキュートは深夜の安い電力でお湯を沸かして貯めておく機器なので、夜間が安いプランに変えないと本来の経済性が出ません。プランの切り替えを忘れたまま数年使っていた、というお宅は実際にあります。工事のときに、今のご契約と使い方を見て切り替えの要否をお伝えするようにしています。
ガス代と電気代の総額でどちらが得かという比較は、家族構成や入浴の習慣で答えが変わるので、別記事のガス給湯器との比較にまとめてあります。この記事はあくまで「導入時にいくら出ていくか」の話に絞りました。
費用を抑えるための、現実的な三つの考え方
最後に、品質を落とさずに総額を下げる方向をお伝えします。
ひとつめは、容量を必要以上に大きくしないこと。家族四人なら370Lで足りるご家庭がほとんどです。将来の来客に備えて460Lに、と考える方がいらっしゃいますが、大きいタンクは本体価格も設置面積も、待機時の放熱ロスも増えます。足りない日は昼間に沸き増しすればいいだけなので、迷ったら小さいほうを選んで問題ありません。
ふたつめは、壊れる前に動くこと。エコキュートの寿命は十年から十五年程度で、完全に停止してからの駆け込みだと、在庫のある機種から選ぶしかなくなります。基礎工事が必要な場合は工事日数もかかるので、数日間お湯なしという事態にもなりかねません。
みっつめは、総額と品番で比べること。前半でご説明したとおり、エコキュートは本体以外の費目が大きい機器です。本体価格だけが安く見える見積書は、基礎や電気工事や搬入が「別途」になっているだけということがあります。品番・工事の内容・処分費まで一枚に書かれた見積書を各社からもらって、同じ条件で並べてください。それが一番確実な比べ方です。
当店は見積もり・現地調査・出張費とも無料で、相見積もりも歓迎しています。設置場所のお写真と分電盤の写真をLINEでお送りいただければ、現地に伺う前におおよその総額をお答えできることも多いので、まずは気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
屋比久 盛友株式会社マルセイテック 代表取締役
保有資格:外壁診断士/宅地建物取引士/ドローンパイロット2級/建築CAD2級
記事の数値・制度は一次情報で確認したものだけを載せ、費用の目安は当店の施工事例の金額をもとにしています。監修者のプロフィールと監修の方針
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