エネファームは、都市ガスやプロパンガスから取り出した水素で発電し、そのときに出る熱でお湯もつくる家庭用の燃料電池です。電気と給湯を同時にまかなえる一方で、導入費用は一般的なガス給湯器の何倍にもなります。そのため、エネファームを検討する方のいちばんの関心は「本当に元が取れるのか」という点でしょう。結論から言えば、条件のそろった家では光熱費の削減で大きな差額を縮められますが、条件が合わない家では、使い終わるまでに取り戻せないことも十分にあります。この記事では、性能や環境面の話は最小限にして、費用と回収の計算だけに絞って整理します。ご自宅の検針票を手元に置いて読み進めると、おおよその見通しが立てられます。
結論:導入費は150万〜200万円台が目安、回収は「電気とお湯を多く使う家」だけが現実的
エネファームの導入費用は、本体と工事を合わせておおむね150万〜200万円台が目安です。一般的なエコジョーズへの交換と比べると、差額は100万円を超えることが多くなります。年間の光熱費の削減は、使い方や契約によって幅がありますが、数万円程度と見ておくのが現実的です。
この2つを割り算すると、回収に十数年以上かかるケースが珍しくありません。発電ユニットには機種ごとに想定された運転期間があり、給湯器と同じく10年前後で修理や交換を考える設備とみておくのが無難なため、元を取るには「電気もお湯もたくさん使う」「補助金や料金プランの優遇を活用できる」といった条件がいくつも重なる必要があります。光熱費だけで得をしたいなら慎重に、停電への備えや環境面にも価値を感じるなら前向きに、というのが基本の考え方です。
費用の中身:何にお金がかかるのか
エネファームの費用は、大きく分けて次の3つで構成されます。見積りを見るときは、どこまでが含まれているかを確認してください。
| 費目 | 中身 | 費用が増えやすい条件 |
|---|---|---|
| 本体 | 発電ユニットと貯湯ユニット(補助の給湯器を含む) | 高機能な機種、停電時に発電を続けられる機能付き |
| 設置工事 | 基礎、ガス・給水・給湯・電気の配管と配線 | 設置場所が離れている、基礎を新たにつくる |
| 既存機器の撤去 | 古い給湯器や温水器の取り外しと処分 | 大型のタンク式の撤去、床暖房との接続替え |
本体の価格には、発電ユニットのほかに、お湯をためるタンクと、お湯が足りない時に使うバックアップの給湯器が含まれているのが一般的です。つまり、エネファームを付ければ別途給湯器を買う必要はありませんが、その分だけ設備全体が大きくなります。
工事費は、設置場所と今の設備の状況で大きく変わります。発電した電気を家の中で使うための配線や、床暖房など暖房の配管とつなぐ工事が加わると、その分費用が増えます。見積りが複数ある場合は、本体の値引きだけでなく、工事の範囲がそろっているかを比べることが大切です。
回収年数を計算する手順
回収の見通しは、次の手順でおおよそ計算できます。ここで大事なのは、エネファームの総額ではなく「今の給湯器を普通に交換した場合との差額」で考えることです。給湯器はいずれ交換が必要になるため、その分はどちらを選んでもかかる費用だからです。
- 手順1 エコジョーズなど標準的なガス給湯器に交換した場合の見積り額を出す
- 手順2 エネファームの見積り額から手順1の額を引き、差額を出す。補助金がある年度は、その分を差し引く
- 手順3 今の1年分の電気代とガス代を、検針票などから合計する
- 手順4 エネファーム導入後の電気代とガス代の見込みを、販売店やガス会社の試算で出してもらう
- 手順5 手順3と手順4の差を年間の削減額とし、手順2の差額をこれで割る
エネファームを入れると、発電のためにガスの使用量は増え、そのぶん電力会社から買う電気が減ります。したがって、試算を見るときは「電気代がいくら下がり、ガス代がいくら増え、差し引きいくら得か」の3つがそろっているかを確認してください。ガス代の増加が書かれていない試算は、実際より有利に見えてしまいます。
また、ガス会社にはエネファームを使う家向けの料金プランが用意されていることが多く、プランを切り替えるとガスの単価が下がって削減額が大きくなります。試算がどのプランを前提にしているかも、あわせて確認しましょう。
計算の結果が給湯器の一般的な使用年数を大きく超える場合は、光熱費の削減だけでは元が取れないと考えたほうが安全です。その差を、停電への備えや快適さへの対価として納得できるかどうかが、最終的な判断の分かれ目になります。
家族構成別の回収の目安
考え方をつかむために、差額を120万円と仮定した場合の目安を表にしました。削減額は家庭によって大きく異なるため、数字そのものより、条件による差の大きさを見てください。
| 家庭の例 | 年間の削減額の目安 | 回収年数の目安 |
|---|---|---|
| 2人暮らし・日中は不在 | 2万〜3万円程度 | 40年以上(実質回収できない) |
| 4人家族・共働き | 4万〜6万円程度 | 20〜30年程度 |
| 5人以上・在宅時間が長い | 6万〜8万円程度 | 15〜20年程度 |
| 上の条件に補助金と料金プランの優遇が重なる | 8万円前後以上 | 十数年程度 |
表のとおり、補助金や料金プランの優遇がない状態で、発電ユニットの設計上の運転期間内に回収しきるのは、多くの家庭にとって簡単ではありません。逆に言えば、家族が多く在宅時間が長い家ほど、発電した電気を家の中で使い切れるため、削減額が大きくなります。
エネファームは、発電した電気を売るより家で使うほうが得になるしくみです。日中に誰もいない家では、発電の機会を十分に生かせません。テレワークや二世帯同居など、昼間の電気の使用が多いかどうかが、回収の早さを左右する大きなポイントです。
元が取れる可能性が高い家の条件
これまでの内容をまとめると、次の条件に多く当てはまる家ほど、エネファームの投資回収が現実的になります。
- 家族が4人以上で、毎日お風呂をためる
- 在宅時間が長く、昼間も電気をよく使う
- 冬は床暖房や浴室暖房乾燥機など、熱を多く使う
- 今の光熱費、特に電気代の負担が大きい
- ガス会社のエネファーム向け料金プランに切り替えられる
- 補助金を使える年度に導入できる
- 同じ家に10年以上住み続ける予定がある
反対に、1〜2人暮らし、昼間は不在、太陽光発電ですでに電気代がかなり下がっている、といった家では、エネファームの強みが生きにくくなります。太陽光発電との組み合わせは、昼間の発電が重なるため、どちらの電気を使うかの関係が複雑になり、思ったほど削減額が伸びない場合があります。
お金以外の価値と、見落としやすい注意点
エネファームには、光熱費の削減以外の価値もあります。停電時にも発電を続けられる機能を持つ機種なら、ガスと水道が使える限り、一部の家電に電気を供給しながらお湯も使えます。災害への備えに重きを置く家にとって、この点は金額だけでは測れない利点です。
一方で、見落としやすい注意点もあります。まず、設置スペースは一般的なガス給湯器より大きく、発電ユニットと貯湯ユニットの2台分の場所が必要です。運転中にはわずかな音も出るため、寝室や隣家の近くを避けた配置が望まれます。
次に、メンテナンスです。定期点検の有無や、保証期間を過ぎた後の修理費用の考え方は、機種や販売店によって異なります。回収の計算に入れていなかった修理費が後から出ると、見通しが大きく変わります。導入前に、保証の範囲と期間、点検の費用を書面で確認しておきましょう。
なお、選べるメーカーや機種は年によって変わることがあり、給湯器ほど幅広い選択肢はありません。今後の部品の供給や修理の体制も含めて、販売店に確認しておくと安心です。
検討を進めるときの順番
エネファームを検討するときは、いきなり見積りを取るより、まずご自宅の1年分の電気代とガス代を集めることから始めると無駄がありません。その数字があれば、販売店の試算が自宅の実態に合っているかを判断できます。そのうえで、標準的なガス給湯器への交換と、エネファームの2通りで見積りを比べるのがおすすめです。
当店では、見積り・現地調査・出張費を無料で承り、設置場所や今の配管の状況を確認したうえで、工事費込みの明朗価格でご案内しています。エネファームが合わないと判断できるご家庭には、エコジョーズなど他の選択肢もあわせてご提案します。補助金は年度ごとに内容が変わるため着工前に確認し、申請の代行も承ります。工事には最長10年の工事保証をお付けしています。大和市・藤沢市を中心に、近隣の市町にも伺います。
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この記事の監修者
屋比久 盛友株式会社マルセイテック 代表取締役
保有資格:外壁診断士/宅地建物取引士/ドローンパイロット2級/建築CAD2級
記事の数値・制度は一次情報で確認したものだけを載せ、費用の目安は当店の施工事例の金額をもとにしています。監修者のプロフィールと監修の方針
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