「シャワーは普通にお湯が出るのに、追い焚きだけ効かないんです」——寒くなり始める時期に増えてくるご相談です。お湯自体は出ているので完全な故障とも思えず、かといって湯船が温められないのは困る。この症状、実は原因の切り分けがしやすいトラブルで、業者を呼ばずにその場で解決するケースも少なくありません。症状のパターン別に、疑う場所の順番をご案内します。
その前に:追い焚きの仕組みを30秒で
切り分けの前提として、追い焚きの仕組みをざっくり知っておくと話が早いです。浴槽の壁にある丸い金具(循環アダプター)から浴槽のお湯を吸い込み、給湯器の中で温め直して、同じ金具から戻す。この循環がぐるぐる回るのが追い焚きです。
つまり追い焚きだけの不調は、「吸い込み口」「循環の配管」「給湯器内部の追い焚き系統」のどこかに原因があります。シャワーやカランのお湯は別の系統なので、そちらが無事でも追い焚きだけ壊れることは普通にあり得ます。そして原因が浴槽側(吸い込み口まわり)にあるほど自分で直せる可能性が高く、給湯器の内部に近づくほど修理や交換の話になっていきます。以下、自分で確認できる順にご案内します。
症状①:追い焚きボタンを押しても反応がない・すぐ止まる
まず確認したいのは浴槽の水位です。循環アダプターの金具が完全にお湯に浸かっていないと、給湯器は空焚き防止のために追い焚きを始めません。金具の上5cm以上お湯がある状態で試してください。半身浴の水位で追い焚きが効かないのは故障ではなく仕様です。
水位が足りているのに動かない場合は、リモコンにエラーコードが出ていないか見てください。循環不良を示すエラー(メーカーによって番号は違います)が出ていれば、次の症状②のフィルター清掃で直る可能性があります。エラーも出ずに無反応なら、リモコンの電源を入れ直して再試行を。それでも動かなければ給湯器内部の故障が疑われます。
症状②:追い焚きは動くが、ぬるい・時間がかかる
このパターンでいちばん多い原因は、循環アダプターのフィルター詰まりです。金具のカバーを回して外すと網状のフィルターが入っていて、ここに髪の毛や湯垢、入浴剤の成分が溜まると、お湯の循環量が落ちて温まりが悪くなります。
フィルターは工具なしで外せます。歯ブラシで網目の汚れを落として戻すだけなので、まずこれを試してください。当店の出張でも「フィルター清掃だけで解決、工事なし」というケースが実際にあります。月1回の清掃を習慣にすると再発しにくくなります。
フィルターがきれいでも改善しない場合は、追い焚き配管の内部に汚れが蓄積している可能性があります。市販の風呂釜洗浄剤(ジャバなど)で改善することもありますが、10年以上使った配管だと洗浄では戻りきらないこともあります。
症状③:お湯を張った覚えのない白い濁り・湯垢が浮く
追い焚きの効きとあわせて「お湯に白いカスが浮くようになった」というご相談もよくセットでいただきます。これは追い焚き配管の内側に溜まった湯垢や皮脂汚れが剥がれて出てきているサインです。
軽度なら風呂釜洗浄剤で対処できますが、洗浄しても繰り返す場合は配管内の汚れがかなり進んでいます。ご家族に肌の弱い方や小さいお子さんがいるご家庭では気になるところだと思います。給湯器の交換時期が近いなら、フルオートタイプ(お湯を抜くたびに配管を自動洗浄する機能付き)への交換で根本的に解決するという選択肢もあります。
修理か交換か:追い焚き系統の故障は「年数」で判断
フィルター清掃でもエラーの再発が続く、追い焚きだけ全く動かない——ここまで来ると、給湯器内部の循環ポンプや基板、流量センサーの故障が濃厚です。部品交換の修理費はおおむね2〜5万円かかります。
そこで判断材料になるのが使用年数です。設置10年未満なら修理する価値がありますが、10年を超えていると、追い焚きを直しても今度は別の部品が寿命を迎える、という繰り返しになりがちです。メーカーの部品保有期間が切れて修理自体を断られることもあります。
当店では、10年超の給湯器の追い焚き不調は交換をおすすめしています。ガス給湯器の交換は工事費込み8.5万円〜、オートタイプで13万円台〜が目安です。「修理費の見積もりを聞いてから交換と比べたい」というご相談ももちろん歓迎です。両方の金額を並べてご判断いただくのがいちばん納得感があると思います。
ひとつだけ急いでいただきたいのは、症状が出ているのが秋口の今の時期だという点です。追い焚きの不調は冬本番に必ず悪化方向に働きますし、冬は交換のご依頼が集中して納期が延びます。湯船にしっかり浸かりたい季節が来る前に、原因だけでもはっきりさせておくことをおすすめします。
実際にあったケースをひとつ。昨年の11月、「夏頃から追い焚きがぬるい気がしていたが、シャワーで済ませていたので放っておいた」というお客様からご相談をいただきました。点検すると循環ポンプの劣化で、設置13年だったため交換をご提案。このときはまだ繁忙期前だったので、ご希望の土曜日に工事できました。もし年末の完全停止まで放置されていたら、数日間お湯なしの生活になっていたはずです。「気がする」の段階でご相談いただけたのが幸いでした。追い焚きの不調は、給湯器が出してくれる数少ない予告サインだと思ってください。
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この記事の監修者
屋比久 盛友株式会社マルセイテック 代表取締役
保有資格:外壁診断士/宅地建物取引士/ドローンパイロット2級/建築CAD2級
記事の数値・制度は一次情報で確認したものだけを載せ、費用の目安は当店の施工事例の金額をもとにしています。監修者のプロフィールと監修の方針
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