「親の足腰が弱ってきて、しゃがむ和式がつらそう」「来客に洋式じゃないと申し訳なくて」——和式から洋式へのリフォームは、そんなご家族の事情から始まることがほとんどです。このリフォーム、実は普通のトイレ交換とは工事の中身がかなり違います。費用の相場だけでなく「なぜその金額になるのか」まで分かるように、工事の順を追ってご説明します。
費用相場は15万〜40万円。幅が出る理由は「床」にある
洋式トイレ同士の交換なら当店では工事費込み9.8万円〜ですが、和式からの洋式化は15万〜40万円程度と幅が出ます。この差を生むのが、和式特有の床の構造です。
和式トイレの多くは一段高い「段差床」になっていて、便器がタイルの床に埋め込まれています。洋式化ではこの段差ごと解体し、床を平らに作り直し、排水管の位置も洋式用に移設する必要があります。つまり「便器の交換」ではなく「トイレ空間の作り直し」に近い工事なのです。
| 工事内容 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 段差床・タイルの解体 | 3万〜8万円 | 段差の高さ・タイルの範囲による |
| 給排水管の移設 | 3万〜6万円 | 床下の配管状況による |
| 床・壁の下地と内装仕上げ | 5万〜10万円 | クッションフロア+クロスが定番 |
| 洋式便器+温水洗浄便座 | 7万〜15万円〜 | 選ぶグレードによる |
| 電気工事(コンセント新設) | 1.5万〜3万円 | 和式トイレにはコンセントがないことが多い |
見落とされがちなのが最後のコンセント新設です。温水洗浄便座には電源が必要ですが、和式トイレの個室には電源がないのが普通で、多くのケースで電気工事がセットになります。
工事日数は2〜4日。工事中のトイレはどうする?
解体・配管・下地・内装・便器設置と工程が多いため、工事日数は2〜4日が目安です。その間トイレが使えないことが、このリフォームのいちばんの心配事だと思います。
トイレが2か所あるお住まいなら問題ありませんが、1か所のみの場合は仮設トイレの設置や、工程を組んで「夜間は仮復旧して使える」ようにするなどの対応を工事前にご相談します。ここは事前に確認しておかないと工事が始まってから困るポイントなので、お見積もり時に必ずご説明しています。
段差がなくなると、転倒リスクも一緒に減る
和式から洋式へのリフォームで得られるのは、実は「座れる便器」だけではありません。段差床の解体によってトイレの出入りがフラットになり、つまずき・転倒のリスクが下がります。夜中にトイレに立つことが増える年代のご家族にとって、この効果は見た目以上に大きいものです。
同時に手すりを付ける、開き戸を引き戸に替える、といったバリアフリー化をまとめて行うご家庭も多くあります。工事範囲が重なるので、別々に頼むより一度で済ませたほうが費用も工期も効率的です。
介護保険・自治体の補助が使えることがあります
要支援・要介護認定を受けているご家族のためのリフォームであれば、和式から洋式への便器の取り替えは介護保険の住宅改修費(上限20万円・自己負担1〜3割)の対象工事に含まれています。手すりの設置や段差解消も同じ制度の対象です。
介護保険の住宅改修は「工事前の申請」が必須で、着工後の申請は認められません。ケアマネジャーさんとの連携や書類の準備も含めて当店でサポートしていますので、認定をお持ちのご家族がいる場合は、お見積もりの段階で必ずお知らせください。自治体独自の補助制度が使える場合もあわせてお調べします。
実際の工事から——タイルの和式トイレを3日で洋式に
イメージを持っていただくために、実際に多いパターンの工事の流れをご紹介します。築40年ほどの戸建てで、床も壁もタイル張り、一段上がった和式トイレを洋式化したケースです。
1日目は解体の日。和式便器を撤去し、段差床とタイルを斫り(はつり)ます。この日がいちばん音とほこりが出るので、ご近所への声かけは事前に当店から行います。解体してみると床下の排水管が古い鉄管だったため、樹脂管への交換もこのタイミングで実施しました。床を開けるのはこの工事のときだけなので、古い配管は「ついでに」替えておくのが後々の安心につながります。
2日目は床の下地を組んで平らにし、電気屋さんがコンセントを新設。壁の下地も整えます。3日目に内装仕上げです。床にクッションフロア、壁と天井にクロスを貼り、最後に洋式便器と温水洗浄便座、紙巻器やタオル掛けを取り付けて完了。冷たいタイルの空間が、明るい内装の暖かいトイレに変わりました。
このお宅では80代のお母様が夜のトイレを不安がっていたことがきっかけでしたが、工事後は「段差がなくなって夜も怖くない」と喜んでいただけました。手すりも同時に設置し、介護保険の住宅改修費を使って自己負担を抑えています。同じような築年数・構造のお住まいは大和・藤沢エリアにたくさんありますので、「うちのトイレもできるのか」という段階のご相談から遠慮なくどうぞ。
なお、現地調査で確認するのは床下の配管経路、段差の高さ、個室の広さ(洋式便器は前方にひざのスペースが必要です)、電源の取り回しの4点です。調査は30分ほどで終わり、その場でおおよその工事範囲と概算をお伝えできます。図面がなくても問題ありません。築年数の古いお住まいほど「開けてみないと分からない」部分は残りますが、万一の追加が出た場合の費用の考え方も、見積もり時に書面であらかじめご説明しています。
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この記事の監修者
屋比久 盛友株式会社マルセイテック 代表取締役
保有資格:外壁診断士/宅地建物取引士/ドローンパイロット2級/建築CAD2級
記事の数値・制度は一次情報で確認したものだけを載せ、費用の目安は当店の施工事例の金額をもとにしています。監修者のプロフィールと監修の方針
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