ここ数年、給湯器の買い替えを検討するお客様との会話で必ず出るのが補助金の話題です。国は家庭の省エネ化を進めるため、エコキュートをはじめとする高効率給湯器への買い替えを補助する事業を続けてきました。ただしこの制度、仕組みを知らないと「使えたはずなのに使えなかった」が起きやすいのです。制度の詳細な金額や期限は年度ごとに変わるため、この記事では「変わらない仕組みの部分」を中心に、損をしないための知識をお伝えします。
補助の対象は「高効率」給湯器。普通の交換との違い
国の給湯器関連の補助事業が対象とするのは、エコキュート(ヒートポンプ給湯機)、ハイブリッド給湯機、エネファームといった高効率タイプへの買い替えです。従来型のガス給湯器から同じ従来型への交換は、原則として対象になりません。
さらに同じエコキュートでも、省エネ性能の高い機種ほど補助額が上乗せされる設計になっているのが近年の傾向です。つまり「どの機種を選ぶか」で補助額が変わります。カタログの価格だけで選ぶと、補助を含めた実質負担では逆転することがあるので、見積もり時に補助額込みの比較をするのが正解です。
いちばん大事な注意点:申請するのは業者、枠は早い者勝ち
この制度で誤解が多いのが申請の主体です。多くの給湯器補助事業では、お客様ご自身ではなく、事業者登録をしたリフォーム業者が申請を行います。つまり、登録していない業者に頼むと制度自体が使えません。業者選びの段階で「補助金の登録事業者ですか」と確認することが最初の分かれ道です。
もうひとつが予算の仕組みです。国の補助事業は年度ごとに予算総額が決まっており、全国からの申請で予算が埋まった時点で受付終了となります。年度の後半に「使おうと思ったら終わっていた」というケースは毎年起きています。買い替え時期を選べるなら、制度が始まって間もない時期に動くのが確実です。
申請から振込までの一般的な流れ
- ① 見積もり時に補助対象機種かどうか・補助見込み額を確認する
- ② 契約後、着工前または完了後に業者が交付申請を行う(事業により手順が異なる)
- ③ 工事の完了報告・実績報告を業者が提出する
- ④ 審査を経て補助金が確定し、還元される(業者経由での値引き充当となる制度もある)
必要書類には工事前後の写真や機種の性能証明が含まれるため、工事が終わってから「やっぱり申請したい」は通用しません。最初から補助金を使う前提で工事を組むことが大切です。
自治体の制度と併用できる場合もある
国の事業とは別に、お住まいの自治体が省エネ機器の設置に独自の補助を設けていることがあります。国と自治体の制度は財源が違えば併用できる場合があり、うまく組み合わせると負担がさらに下がります。
ただし自治体の制度は予算規模が小さく、受付期間も短い傾向があります。大和市・藤沢市など当店の対応エリアについては、お見積もりの際にその時点で使える制度をまとめてお調べしてご案内しています。
「補助金があるから」と急かす営業にはご注意を
最後に、業者側の立場だからこそお伝えしたい注意点です。補助金の存在を持ち出して「今日契約しないと間に合わない」と契約を急がせる訪問営業のトラブルは、制度のある年度に必ず増えます。
本当に登録事業者であれば、補助対象の機種名・補助見込み額・申請スケジュールを書面で示せます。それができない業者の「補助金が使える」は疑ってかかってください。当店では最新の公募状況を確認したうえで、使える制度・使えない制度を正直にご説明します。金額や締切など制度の詳細は変動しますので、検討時点の正確な情報は見積もり時にご確認ください。
窓口でよく受ける「勘違い」を先に解いておきます
補助金のご相談を日々受けていると、同じ勘違いに何度も出会います。先に知っておくと、検討がスムーズになります。
勘違いその1「申請すれば必ずもらえる」。補助金は申請順に予算を消化していく仕組みなので、要件を満たしていても予算切れなら受け取れません。契約前の段階では、業者が示す金額はあくまで「見込み額」です。当店でも、申請枠を確保できた時点で改めてご報告する形を取っています。
勘違いその2「工事のあとから申請できる」。前の章でも触れましたが、これがいちばん多く、いちばん取り返しがつきません。工事前・工事中の写真や書類が要件になっているため、完工後に思い立っても手遅れです。給湯器が壊れて急いで交換した場合など、やむを得ず制度を使えないケースもあることは正直にお伝えしておきます。
勘違いその3「補助金の分だけ安くなるとは限らない」。補助金を見込んだうえで本体価格を高めに設定する業者も残念ながら存在します。防衛策はシンプルで、補助金を引く前の工事価格そのものを相見積もりで比べることです。補助額は同じ機種なら基本的にどの業者でも同じですから、比べるべきは工事価格のほうです。
当店では、補助対象機種と対象外機種の両方で見積もりをお出しし、実質負担の差を見て選んでいただく形にしています。制度に振り回されず、納得して選ぶための材料をそろえるのが専門店の仕事だと考えています。
最後にもうひとつ。補助金は「使えたらお得」であって、「使うために工事内容を変える」のは本末転倒です。ご家庭の光熱費や家族構成に合わない機種を補助額につられて選ぶと、10年以上その機種と付き合うことになります。まず暮らしに合う給湯器を選び、そのうえで使える制度を使い切る。この順番だけは間違えないでください。
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この記事の監修者
屋比久 盛友株式会社マルセイテック 代表取締役
保有資格:外壁診断士/宅地建物取引士/ドローンパイロット2級/建築CAD2級
記事の数値・制度は一次情報で確認したものだけを載せ、費用の目安は当店の施工事例の金額をもとにしています。監修者のプロフィールと監修の方針
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