内窓の設置は、住宅リフォームのなかでも補助制度が使いやすい工事のひとつです。理由はシンプルで、窓の断熱は住宅のエネルギー消費を減らす効果が大きいと評価されているからです。ただし「窓を付ければ必ずもらえる」というものではなく、製品の性能、施工する事業者、申請の順番といった条件があります。ここでは制度の名前や金額ではなく、毎年ほとんど変わらない「条件の構造」をお伝えします。制度そのものの最新の内容は、年度ごとに必ず確認してください。
窓の断熱が補助制度で優遇されやすい理由
住宅から熱が出入りする経路のうち、もっとも割合が大きいのが窓です。壁や天井を断熱しようとすると建物を解体する大工事になりますが、窓は既存の窓の内側にもう一枚入れるだけで済みます。一日で終わる工事で効果がはっきり出るため、公的な支援の対象として扱いやすいわけです。
実際、国の住宅省エネ関連の制度では、窓の断熱改修が中心的なメニューとして毎年のように組み込まれています。当店で工事をさせていただいたお宅でも、補助制度を前提に内窓を入れたケースが少なくありません。
効果そのものについては内窓(二重窓)の断熱効果はどれくらい?の記事で詳しく書いています。補助制度を検討される前に、そちらで「何がどれくらい変わるのか」を押さえておくとご判断しやすくなります。
対象になるのは性能が証明できる製品
ここがいちばん誤解されやすいところです。補助の対象になるのは「内窓であること」ではなく、「決められた断熱性能の基準を満たすと証明された製品であること」です。
窓の性能は熱の伝わりやすさを示す数値で表され、制度ではその数値ごとに区分が設けられています。同じメーカーの内窓でも、ガラスの種類(単板ガラス・複層ガラス・Low-E複層ガラス)や樹脂フレームの仕様によって区分が変わり、補助額も変わります。
- 対象製品として登録されている型番かどうか(登録外の製品はいくら性能が良くても対象外)
- ガラスの仕様(複層か、Low-E付きか)
- 窓の大きさの区分(大・中・小で金額が分かれる制度が多い)
- 既存の窓を残して内側に付けるのか、窓ごと交換するのか
「安く上げたいので一番シンプルな仕様で」というご希望があった場合、その仕様が対象外になることがあります。補助を前提にされるなら、安い仕様を選ぶより対象になる仕様を選んだほうが、最終的な負担が軽くなるケースも珍しくありません。お見積もりのときに両方の金額を並べてお出しします。
申請するのは施工する登録事業者
国の住宅省エネ系の制度では、申請の主体はお客様ではなく、制度に登録された施工事業者です。お客様が自分で書類を出す形ではないため、「登録している事業者に頼む」ことが実質的な条件になります。
つまり、どの業者に頼むかで使えるかどうかが決まってしまいます。見積もりを取るときは、金額だけでなく「その制度の登録事業者かどうか」を確認してください。当店にご相談いただく場合も、その時点の登録状況を正直にお伝えします。
補助金は事業者がいったん申請し、交付された分をお客様の支払いから差し引く形(または後から還付する形)で精算します。制度によって精算の方法が違うので、見積書のどこで差し引かれるのかを最初に確認しておくと、あとで金額の行き違いになりません。
補助額は窓の大きさと性能で決まる
内窓の補助は「工事費の何割」ではなく、「窓一枚あたりいくら」という定額の積み上げで計算されるのが一般的です。大きい窓ほど、性能の高い製品ほど、一枚あたりの金額が大きくなります。
この計算方法には実務上の意味があります。小さな窓をたくさん付けるより、大きな窓を優先したほうが補助額が伸びやすいということです。同時に、大きな窓は断熱の効果そのものも大きいので、優先順位の考え方と補助の設計が一致しています。
また制度には最低申請額(これ以下だと申請できない)が設けられていることがあります。窓一枚だけの工事だと届かず、数カ所まとめて工事すると届く、という状況が起こります。「一部屋だけ試したい」というご希望の場合は、この点を確認してからお決めになるのがおすすめです。
どの部屋から付けるかの優先順位
予算に限りがある場合、どこに付けるかで体感がまったく変わります。当店が現場でお勧めしている順番はだいたい決まっています。
- 一日のうち長く過ごす部屋(リビング・寝室)から。効果を実感しやすく、光熱費にも効きます。
- 北側の部屋・窓が大きい部屋。結露や寒さの被害が出やすい場所です。
- 浴室や脱衣所。面積は小さいですが、冬場の温度差による負担を減らす意味があります。
- 来客時しか使わない部屋・物置に近い部屋は後回しでかまいません。
結露に悩まされているお宅では、窓まわりのカビや木部の腐りが進んでいることがあります。この場合は内窓を入れるだけでなく、周辺の造作や壁の補修が必要になることもあるので、現地を見せていただいたうえでご提案します。
年度の後半は予算枠が埋まりやすい
住宅省エネ系の制度は、予算の総額が決まっていて、申請が上限に達すると年度の途中でも受付が終わります。窓の断熱は人気のあるメニューですから、年度の後半は枠が残っていないことがあります。
「冬が寒いから秋に検討する」という流れはとても自然なのですが、その時期にはすでに枠が厳しくなっていることが多いのです。冬に寒さを感じたら、その冬のうちに相談して、春から夏のあいだに工事をしておくのが、制度を使う観点ではもっとも有利です。
- 受付の開始時期と、現在の申請状況(残枠)を必ず確認する
- 着工前に申請が必要な制度が多い。先に工事をしてしまうと対象外
- 製品の在庫や納期も春以降は混み合うので、早めの手配が安全
- 完了後の報告書類(工事後の写真など)が必要になる
内窓の工事は内窓の施工事例でご覧いただけます。内装工事全体の考え方は内装リフォームのすべてにまとめています。
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この記事の監修者
屋比久 盛友株式会社マルセイテック 代表取締役
保有資格:外壁診断士/宅地建物取引士/ドローンパイロット2級/建築CAD2級
記事の数値・制度は一次情報で確認したものだけを載せ、費用の目安は当店の施工事例の金額をもとにしています。監修者のプロフィールと監修の方針
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